少し先の未来を、今から見据えて準備していく。そんな気持ちで参加した、伊勢志摩の高付加価値インバウンドセミナー。自分にとって知識不足なインバンドに関して、理解するきっかけとなる貴重な学びとなりました。
本記事は、伊勢志摩の高付加価値インバウンドセミナーの振り返りをまとめたものです。
「感じる」から始める旅の価値
当日は、まず事前に開催されたオンラインワークでインバウンドの最新情報や未来の兆しを学び、宿題となっていた「旅マエ・旅ナカの課題シート」を、今回のセミナーでグループ共有するところからスタートしました。訪れる人にとって、伊勢志摩の旅はどんなものであってほしいか、どんな情報があらかじめ届いているべきか…。グループに分かれてアイデアを出し合いました。
例えば、印象的なものとして「旅は感じることから始まる」というフレーズ。伊勢志摩の魅力を言葉で説明するのは難しい。でも、まずは感じてほしい。そして、あとから考えるきっかけになる旅ができたらいい。
そんな全体ワークのやり取りの中で共有された言葉に、参加者は深くうなずきました。
「消費」ではなく「生産」する観光へ
また、印象に残ったフレーズとして「消費観光ではなく、生産観光」があります。
観光といえば、お金を使って「消費する」イメージが強いですが、訪れたことで地域に何かを「生み出す」観光の形があっても良い。たとえば、地元の人と一緒に漁に出る。伝統的な暮らしの中で少し手伝わせてもらうような体験を通じて、旅人自身も地域の一部になるような仕組みづくり。地域の方も観光客が訪れることで、土地や生業に誇りが持てるようなイメージです。地域に還元される旅を伊勢志摩でより形にする未来に、強く賛同します。
神話でつながる、世界と伊勢志摩
伊勢志摩といえば、やはり伊勢神宮に代表される「神話のまち」。そんあ視点からの議論もありました。
たとえば「ギリシャ神話」と「日本神話」を比較して、海外の方にも親しみやすく紹介する方法。あるいは、日本の文化的ルーツに触れることで、訪れた人が「自分ごと」として何かを持ち帰れるような体験をどう設計していくか。
「靴を脱いで家に上がる」という日本の文化が、アメリカの家庭に新しい価値として取り入れられたエピソードは、なるほどなぁと頷き興味深かったです。日本に根付く細やかな文化体験こそが、旅の深さになるんだなと実感しました。
今より強い「地域間連携」が未来への鍵
今回のセミナーを通じて、伊勢志摩の未来を考えるうえでのキーワードは「連携」だと感じました。市町の境界を越えて、点在する魅力を線につなぎ、面として伊勢志摩全体を語れるようになること。
たとえば、鳥羽ではクルーズ船が多く寄港し、志摩には高級宿がある。伊勢には日本人の心のふるさとともいえる神宮がある。
それぞれの強みを生かしつつ、「伊勢志摩に訪れてよかった」と思ってもらい、旅の中での体験が「自分ごと」に昇華して持ち帰ってもらえるような未来を、地域全体で描けたら良いなと思います。
「今あるもの」を、次へつなぐために。伊勢志摩が一体となる大テーマは何か?
今回のセミナーで得た学びの中には、決して特別なことではなく、「今あるもの」に目を向けるという姿勢がありました。奇をてらい過ぎなくても良くて、むしろ、当たり前になってしまっている「伊勢志摩の原風景」にこそ、旅人にとっての魅力がまだまだ見えずに隠れています。
伊勢志摩の各事業者や住民が一体となっていくための「大テーマ」が必要になってきます。それはアートなのか、また別の形なのか。10年後という遠いようで近い未来、伊勢志摩の高付加価値インバウンドを考え、土台を構築していくことは急務です。インバウンドに関して、今回のセミナーを活かし、より深堀りしていきたいと思います。
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