指宿で鰹節工場見学。氷点下50℃から本枯節、茶ぶしまで体験してきました

9月上旬、友人と2泊3日の鹿児島レンタカー旅へ。

桜島ドライブや桜島フェリー、指宿市の砂むし温泉、開聞岳など、楽しみにしていた場所はいくつもあったのですが、その中でも僕が「これはぜひ体験してみたい」と思っていたのが、指宿市山川で行われている鰹節製造工程見学です。

鰹節といえば、味噌汁やうどん、煮物など、日本の食卓には欠かせない存在です。僕自身も普段から口にしていますが、「一本の鰹節がどうやって作られているのか?」と聞かれると、何となく知っているようで、ほとんど知りませんでした。

今回参加したのは、指宿観光&体験の会が実施している、鰹節の製造工程から氷点下50℃の冷凍庫、最後は郷土飲料「茶ぶし」まで体験できるプログラムです。

これが想像以上に濃い体験でした。

ただ工場を見学するだけではなく、海で漁獲され、市場で水揚げされたカツオが、時間と人の手を経て一本の鰹節になるまでをたどっていく。指宿市で温泉や景色を楽しむのとはまた違った、「食文化を知る旅」がここにありました。

目次

本枯本節日本一の町・指宿市山川へ

体験の舞台となるのは、指宿市の南側に位置する山川です。

鹿児島でカツオと聞くと枕崎を思い浮かべる方も多いと思いますが、山川も日本を代表する鰹節の産地です。なかでも山川は、本枯本節で全国シェア約7割を占める産地として紹介されています。

今回、僕は朝9時からの体験を予約しました。最初に向かったのは山川港周辺です。

訪れた日はちょうどカツオなどの水揚げ作業が行われていて、ガイドさんに案内してもらいながら、仕事の邪魔にならない場所から市場を見学させてもらいました。

船から運び出された冷凍の魚が次々と流れてきて、大きさごとに選別され、大きな容器へと入れられていきます。

ガイドさんのお話では、こうしたカツオは大型まき網漁船によって漁獲され、船上ですぐに冷凍。その状態を保ちながら山川港まで運ばれてくるそうです。

一隻の船に積まれる魚の量もかなりのもので、水揚げには数日かかることもあるとのこと。目の前で大量のカツオが運ばれていく光景から、日本の鰹節産業を支えるスケールの大きさが伝わってきました。

氷点下50℃。カツオを守る超低温の世界

港を見学した後は、原料となるカツオが保管されている大型冷凍庫へ。事前に冷凍庫の中へ入ることは伺っていましたが、いざとなると少し緊張します。羽織るものがあれば安心ですが、なくても大丈夫とのことだったので、僕は半袖のまま臨みました。

冷凍庫に入る前に渡されたのは濡れタオル。このタオルが後ほど変貌を遂げます。

まずは氷点下30℃ほどの冷凍庫へ。

−30℃でも十分すぎるほどの極寒です。友人と一緒に、思わず「はぁぁ」と声が出るほど。−30℃の冷凍庫には、鰹節の原料となるカツオが大量に保管されていました。

そして、さらに奥にあるのが氷点下50℃の超低温冷凍庫。扉の向こうへ入った瞬間、寒いというより「痛い」という感覚が先にきました。空気が一気に肌へ刺さってくるようで、まさに目が覚めるような冷たさです。−50℃の冷凍庫には、長期保存されるカツオが大量に保管されていました。正直、寒すぎてじっくり見ている余裕はありません。

ガイドさんから受け取った濡れタオルをぐるぐると振り回してみると、あっという間にカチカチに。氷点下50℃の世界を実感しました。短時間でしたが、こうした設備の中で原料の品質が保たれ、その先の鰹節づくりにつながっていることを学べました。

さらに興味深かったのが、「魚をできるだけ無駄にしない」という仕組みです。

鰹節の製造過程などから出る魚の残さいは飼料などへ活用され、加工に伴う排水についても処理設備を通して浄化されます。頭や骨なども含め、一匹のカツオをできる限り活用していく。今回の体験名に「SDGs・持続可能な環境保存」と付いている理由も、実際の現場を見ることで理解が深まりました。

煙に包まれた大丸鰹節さんの工場へ

冷凍庫を後にして、続いて向かったのが大丸鰹節有限会社です。ここから、いよいよカツオが「鰹節」へ変わっていく工程を見ていきます。

製造工程の見学を通して、鰹節づくりが想像していた以上に手間のかかる仕事であることを、より深く理解できました。

まずは「生切り」。

カツオの頭や内臓を取り除き、節になる形へ切り分けていきます。その後、切り分けた身を加熱する「煮熟」、骨を取り除く「骨抜き」へと進みます。

骨を抜いた際にできた隙間や亀裂には、カツオの身をすり身状にしたものを竹べらで埋める「もみ付け」という修繕作業も行われます。僕は、鰹節を作るのに「形を整えるための修繕」という工程があること自体を知りませんでした。

一つひとつの工程を聞いていくほど、「魚を乾燥させれば鰹節になる」というような単純なものではないことが分かってきます。

何度も燻して水分を抜く

製造現場で特に記憶に残ったのが「焙乾(ばいかん)」です。

カツオを煙と熱で燻しながら乾燥させていく工程で、一度で終わるのではなく、何度も繰り返して少しずつ水分を抜いていきます。

建物の中に入ると、辺り一面に煙が漂い、鰹節を燻す独特の香りが体全体を包みます。工場の中に並ぶ大量の節と、その間に立ち込める煙。

「ここで毎日、鰹節が作られているんだな」。写真だけではなかなか伝わらない、現場ならではの空気がありました。

焙乾を繰り返して出来上がるのが「荒節」です。

実は僕たちがスーパーなどでよく目にする花かつおなどの削り節にも、この荒節を原料にしたものがあります。僕はそれまで「鰹節」をひとくくりに捉えていて、本枯節ならではの工程やこだわりを意識したことがありませんでした。ここも今回の見学で知った大きな発見です。

荒節から本枯節へ。さらに続く職人の仕事

荒節まで出来上がっても、本枯節づくりは終わりません。燻したことで表面に付着したタール分などを削り、形を整える「表面削り」という工程があります。

この工程を経たものが「裸節」です。

削る作業も、単純に表面を落とせばいいわけではありません。最終的な鰹節の形を決めるため、節の状態を見ながら刃を入れていく必要があり、職人の技術が求められる仕事です。

実際に作業する姿を見ていると、一本一本が工業製品のように自動的に出来上がっているわけではないことが分かります。

さらに裸節を天日で干し、「ムロ」と呼ばれる場所へ入れてカビ付けを行います。

一番カビ、二番カビ、三番カビ、四番カビと、カビ付けと天日干しを重ねながら、じっくりと水分を減らしていきます。

こうして時間をかけて完成するのが本枯節です。

指宿鰹節の製造工程では、一本の本枯節が完成するまで数か月。大丸鰹節有限会社でも、生切りからカビ付け、天日干しまで30以上の工程を重ね、半年以上の歳月をかけて仕上げています。

考えてみれば、生のカツオがあれほど硬い一本の鰹節になるわけです。

生切りして、加熱し、骨を抜き、形を整え、何度も燻し、表面を削り、カビを付け、天日に干す。その工程を知ったことで、一本の鰹節を見る目が大きく変わりました。

職人さんの言葉から感じた一本へのこだわり

工場では、社長さんから直接お話を聞かせてもらう機会もありました。

派手に熱く語るというよりは、どちらかというと寡黙な印象。でも、鰹節づくりについて話される言葉には、一本一本を妥協せず作っている人ならではの芯の強さを感じました。

完成した節は、こだわりを持つ料理人や料理店へ一本の状態で届けられるものもあるそうです。削った状態ではなく節のまま届けてもらい、使う直前に料理人が自ら削る。その一本が出来上がるまでには、何か月もの時間と数多くの工程が積み重ねられています。

港での水揚げから考えると、漁師さん、港で働く人、鰹節職人、料理人と、実に多くの人が一本につながっています。

僕たちが味噌汁を飲んで「だしが効いていておいしい」と感じる、その向こう側にはこれだけの仕事があります。今回の見学で最も大きかったのは、製造方法を知ったこと以上に、海から食卓に届くまで、多くの人の手を介していることを実感できたことかもしれません。

自分で削った鰹節で「茶ぶし」を味わう

工場見学を終えた後は、最後のお楽しみ。鹿児島の郷土飲料「茶ぶし」を作ります。

友人の分まで僕が削りました。

鰹節を削り器にセットして、ハンドルをぐるぐる。かき氷機や鉛筆削りのような感覚で回していくと、薄く削られた鰹節が出てきます。

削ったばかりなので、香りがいい。そこに鹿児島らしい麦味噌を合わせ、お湯を注いでいただきました。茶ぶしは、お茶やお湯に味噌と鰹節などを合わせていただく、鹿児島の郷土の味です。

麦味噌のやさしい甘さと、削りたての鰹節から出る旨味。派手な料理ではありません。でも、港から工場まで鰹節が出来上がる工程を見てきた後に飲む一杯は、とても特別でした。

ガイドさんのお話も本当に丁寧で、質問すると一つひとつ答えてくださいます。

工程をただ説明するだけではなく、山川の産業や環境への取り組みまで含めて伝えようとしていることが感じられ、鰹節への理解が一気に深まりました。

見学の後は鰹節グルメまで楽しみたい

今回僕は、見学を終えた後の昼食に「元祖指宿ラーメン二代目」で、鰹節を使ったラーメンをいただきました。

前日の夜には「青葉」でカツオのたたきもいただきました。

鹿児島・指宿で「カツオを知って、カツオを食べる」。工場を見学した後に鰹節のだしを味わうのは、最高の贅沢だと思いました。

指宿といえば、砂むし温泉や開聞岳などが代表的な観光スポットです。でも、それだけではなく、食文化に少しでも興味がある方なら、ぜひこの鰹節体験も加えてみてほしいと思います。

見学後の温泉もおすすめ

一つ注意するなら、焙乾の現場に入るため、見学後は服や髪にしっかりと燻した香りが残ります。

僕らはその後に温泉へ向かいました。結果的に、とても良い旅程だったと思います。着替えを準備して、「鰹節工場見学 → 温泉 → 昼食」という流れで一日の予定を組んでみるのもおすすめです。

いつもの「だし」の向こう側を知る旅

お土産で買ってきた大丸鰹節さんの本枯節削り。

今回の見学を終えてから、鰹節を見る目が変わりました。地元に帰ってから早速、鰹節の商品表示を見て違いを確認している自分がいました。

鰹節を手に取ると、これまでの「だしを取るための食材」というイメージだけでなく、今では港の風景や氷点下50℃の冷たさ、煙に包まれた工場、黙々と手を動かす職人さんたちの姿まで一緒に浮かんできます。

旅先でしか見られない絶景を見るのも好きですが、こうして普段の暮らしにつながっているものの原点を訪ねる旅も、とても面白い。むしろ日常に戻ってからも、その体験が残り続けます。

  • 味噌汁を飲んだとき。
  • うどんのだしを味わったとき。
  • 冷奴に鰹節をのせたとき。

「あの山川で、何か月もかけて作られていたんだ」。そんなことを思い出すようになりました。

指宿へ旅行するなら、温泉や絶景だけではなく、日本の和食を支えてきた「鰹節の町・山川」にも足を運んでみてください。普段何気なく口にしている一杯の「だし」が、少し特別なものに感じられる体験になると思います。

鰹節製造工程見学の体験概要

体験内容や料金などは変更される場合があります。予約前には公式サイトで最新情報をご確認ください。

項目内容
体験名SDGs持続可能な環境保存! 鰹節製造工程見学・指宿郷土飲料 茶ぶし手作り体験付き
主な体験内容氷点下50℃の冷凍庫入室、鰹節製造工程見学、茶ぶし手作り体験
体験時間体験約60分/集合から解散まで約90分
料金大人3,000円/小人1,000円(税込)
予約締切2日前の17:00まで
集合・開催場所山川水産加工業協同組合
鹿児島県指宿市山川新栄町9番
電話0993-34-0155
開催時間9:00〜15:00の間で希望時間を申し込み
備考土曜・日曜・祝日は工場休み。行程は当日の状況により変更される場合があります。
公式・予約ページ指宿観光&体験の会「鰹節製造工場見学」

大丸鰹節有限会社の概要

大丸鰹節さんには、鰹節の直売店もあります。
項目内容
会社名大丸鰹節有限会社
所在地〒891-0511 鹿児島県指宿市山川福元6713-10
電話番号0993-34-1016
営業時間9:00〜17:00
主な商品本枯節、荒節、削り節など
公式サイト大丸鰹節有限会社

参考リンク

サイト内容
かつお節の原点かつ頂点「指宿鰹節」山川水産加工業協同組合による指宿鰹節の公式サイト。産地や製造工程、組合情報などを紹介。
大丸鰹節有限会社今回製造工程を見学した鰹節メーカー。本枯節の製法や商品情報を掲載。
指宿観光&体験の会今回参加した鰹節製造工程見学・茶ぶし手作り体験の内容や予約情報を掲載。

本記事は、取材や体験に基づいた一次情報をもとに、AIツールを活用して構成案を作成し、筆者が内容を編集・レイアウト調整しています。最終的には人の目で確認のうえで公開しています。

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