半田市を訪れた日、ミツカンミュージアムで「酢の世界」を学び、半田運河の景色にほどけるような時間を過ごしました。けれど、半田の面白さはそこで終わりません。
運河の次に向かったのが、半田赤レンガ建物です。名前の通り赤レンガの建物なのですが、ただ映える建築という言葉だけでは片づけられない、起業家たちの挑戦の歴史が詰まった場所でした。


半田運河の余韻のまま、赤レンガへ


外観を見た瞬間、まず感じたのは「時間の層」でした。レンガの色、窓の配置、建物のスケール感。そこに立つだけで、今の街の空気とは違う時代に触れているような感覚になります。
展示スペースやショップ、飲食ができるエリアも整っています。受付を済ませて奥に進めば、単なる施設ではなく、半田の記憶、そして赤レンガ建物が刻んできた時の保管庫なのだとわかってきました。
ここは「カブトビール」の醸造所跡だった


半田赤レンガ建物は、かつてカブトビールの醸造に使われていた場所です。今でいう大手ビールメーカーが群雄割拠している時代に、ミツカングループの四代・中埜又左衛門ら、当時の半田を動かした人たちが果敢に挑みました。ミツカンミュージアムで「発酵」の技術や文化に触れた直後だったからこそ、ビールづくりもまた発酵の延長線上にあるのだということが腑に落ちました。


カブトビールは、いま復刻版としても親しまれ、2025年には復活20周年という節目もあったとのこと。過去の挑戦が、形を変えながら今に戻ってきている。そう思うと、建物の見え方が少し変わります。
赤レンガ建物に刻まれた戦争と時代の波、そして「残す」という決断


印象に残ったのは、建物がたどった「その後」の歴史です。ビールづくりが止まったのは、戦争という大きな時代のうねりの中。さらに、企業や用途が変わりながら工場として使われ、やがて閉鎖してしまいます。取り壊しの話が進んだ段階で「これは残すべきだ」と声が上がり、半田市が建物を買い取り、再生の道を選んだそうです。


耐震補強のために鉄骨を入れながらも、当時の雰囲気をできる限り残す工夫が随所にありました。補強の過程で出たレンガを使ってカブトビールのロゴを表現した展示もあり、過去をきれいに保存するだけではなく、活かしながら受け継ぐ姿勢が伝わってきます。結果として、2015年に「半田赤レンガ建物」として一般公開されました。現在の赤レンガ建物は、街の意志そのものだと思いました。
見学して感じた、半田市民の温度


観光地としての魅力はもちろんあるのですが、それ以上に、半田の人たちが赤レンガ建物を大切にしてきた温度を感じました。「残したい」という気持ちは言葉だけでは続かないはずで、維持にもお金がかかり、手間もかかります。それでも残すという決断に至ったのは、建物の価値を「自分たちの歴史」として後世に継承していく覚悟を感じます。


ミツカンの酢、運河の風景、赤レンガの建物、そしてカブトビール。別々の点に見えたものが、半田では「発酵・醸造」という文化でつながり、町の歴史を非常に大切にしている。旅先でこういう一本の線が見えてくる瞬間が、個人的には学びがあり、興味深い体験です。
半田赤レンガ建物のショップは要チェック


館内ショップもかなり充実していました。デザイン性のある地域産品が多く、見ているだけでも楽しかったです。僕は、「たまり屋のぽん酢」を試食して、思わず購入。普段食べているポン酢よりも輪郭がはっきりしていて、料理の表情が変わりそうだなと感じました。




また、みりん粕を使った芋けんぴも珍しく思って、手に取りました。
そして、カブトビールを買いたい方はひとつ注意点があります。要冷蔵(10℃以下保存)が前提なので、旅程に組み込むなら「帰る直前に寄る」「保冷の準備をする」「配送を検討する」といった段取りが安心だと思います。僕は車移動だったこともあり、その場で飲むこともできず、訪問日は宿泊予定だったため断念しました。次は買って帰る設計をして再訪したいところです。


半田市には他にも、ゴンぎつねの作者ゆかりのスポットや、豪商の屋敷を見学できる場所など、気になる点がいくつもあります。今回の僕のルートは「ミツカンミュージアム&半田運河→半田赤レンガ建物」。ここにあと1〜2か所加えれば、半田を一日じっくり味わうプランになりそうです。
歴史は、教科書の中だけにあるものではなく、街の中に立っている。半田赤レンガ建物は、それを静かに教えてくれる場所でした。
半田赤レンガ建物の施設紹介


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 半田赤レンガ建物 |
| 所在地 | 愛知県半田市榎下町8 |
| 概要 | かつて「カブトビール」の醸造所として使用されていた赤レンガ建築。現在は展示・ショップ・飲食・イベントスペースを備えた歴史文化施設。 |
| 歴史的背景 | 明治期に建設され、カブトビールの製造拠点として稼働。その後、戦時下で用途転換・工場閉鎖を経て、半田市が保存・再生。2015年に一般公開。 |
| 主な見どころ | ・カブトビールの歴史展示 ・当時の建築意匠を活かした赤レンガ建築 ・耐震補強と保存を両立した再生建築 |
| 施設構成 | 展示室/ショップ/飲食スペース/イベント・多目的スペース |
| カブトビール | 明治期に誕生した国産ビールブランド。現在は復刻版として販売されている(要冷蔵)。 |
| 利用のポイント | カブトビールは10℃以下での保存が必要なため、購入は旅程の後半や配送利用がおすすめ。 |
| 公式WEBサイト | https://handa-akarenga.com/ |
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