先日、紀北町で開催された「南部地域活性化推進協議会」のワークショップに参加させていただきました。今回のテーマは「若者」「産業」「賑わい」の3つ。それぞれの机に分かれて、課題とアイデアを出し合うワークショップでした。
私自身は現在、伊勢志摩エリアの広域コーディネーターとして地域に関わっており、南三重で活躍されている行政職員さんの声に耳を傾ける時間となりました。本記事では、その振り返りを共有させていただきます。
※.基本的に自分が出した課題・アイデアを中心にまとめていますのであしからず。
南三重「賑わい」の課題とアイデア「点と点をつなげる力をどう生むか」


まず参加したのは「賑わい」テーブル。地域には大小さまざまなコミュニティがありますが、互いに関わりが薄く、連携が生まれにくい現状があることを指摘しました。人が減る中、それぞれが孤立している印象もあります。
そこから出したアイデアの一つが、「コミュニティ同士の交流機会の創出」。連携を深めることで、地域の魅力を再発見し、点から面へと広がる賑わいへとつながるのではないかという視点です。
さらに「熊野古道 伊勢路」の活用にも触れました。観光資源として整備が進めば、地域住民と観光客の双方にとって公共交通インフラの維持にもつながる。インフラ整備が地域の持続性にも関わってくる重要な視点だと思います。
グルメも記憶になる。刺身がおいしいから、帰ってきたくなる


以前、なぜ地元に帰ってきたのかというヒヤリングをした際の派生話として、複数人から「地元のお刺身が食べたくなった」という話を聞きました。ある方は「大阪で食べた刺身がまずくて、ゴミ箱に捨てた」という当時のエピソードを話されていて、地元の魚の美味しさを思い出し、何度も帰省を繰り返していたそうです。
こうした「おいしい記憶」は、思いのほか強く人の心に残り続けます。だからこそ、地域の食文化に触れる体験を子どものうちから用意しておくことも、将来のUターンにつながるかもしれません。
「産業」の課題とアイデア「企業をもっと見える化しよう」


次のテーマは「産業」。担い手不足、後継者不在、地域産業の情報不足が課題として挙がりました。
そこで私からは、岐阜県関市の「工場参観日」を例に出しながら、地元企業をもっと可視化する仕掛けが必要ではないかと提案しました。
「地域の誇りになるような企業が、どんなことをしているのかを知る機会がない」というのは多くの地域に共通する課題です。地元の大人たちがその価値を理解することで、「子どもたちがUターンして働く」という選択肢を持つきっかけになるかもしれません。
さらに、後継者を探すつなぎ役としての人材の必要性、オンライン企業説明会の活用といった仕組みづくり、乱立した諸団体の解体と合併も案として挙げました。人と仕事の接点を、もっと地域内外に開いていくことが求められています。
「若者」の課題とアイデア「自由な散策と帰ってきたくなる記憶づくり」


最後は「若者」がテーマのテーブルへ。3テーブル目になると、既に課題やアイデアがたくさん出ていましたので、ちょっと変化球な内容を考えました。
課題のひとつとして挙げたのは、「18歳までに三重県南部を自由に移動できる手段が少ない」ということ。私自身、自家用車で自由に県内を散策できるようになってから、三重県を好きになっていきました。一方で、高校生の頃は地元に対して特別な感情を抱いていませんでした。
そこで提案したのが「南みえ18きっぷ」のような、若者向けの周遊チケット。これがあれば、学生がふらっと熊野へ、おわせへと旅することができ、自らの体験として、「南三重って楽しい」という記憶が心に刻まれます。
また、現在はSNSでのつながりが当たり前の社会ですので、バーチャル空間(VRやAR)を活用した若者世代と地域の接点としての南三重コミュニティの形成というアイデアも提案しました。デジタルファーストな若者が気軽に覗きに来れるバーチャル空間(VRやAR)をきっかけにリアルに融合させていくことで、今の若者世代に合った関わり方を提供できるかもしれません。
一人ではできない。でも、誰かが仕掛ければ動き出す


このワークショップを通じて、南三重にはたくさんの可能性があることを再確認しました。課題も山積みですが、それ以上に「何かしたい」という想いを持った方たちが集っていました。
今回のワークショップで感じたのは、「人がつなぎ手になれば、南三重のポテンシャルは無限大」だということ。地域内のハブとなる人材、活動を支援する仕組み、そしてチャレンジを形にする基金がある。人口減少が進んでいく南三重の未来をつないでいくためにも、これらを活用しながら、今後の提案づくりやプロジェクトの実施に向けて、引き続き関わっていければと思っています。
このブログを読んで、「一緒に何かやってみたい」と思った方がいれば、ぜひ声をかけてください。一緒にできることを、一緒に考えていけたら嬉しいです。